かなの古典 -「高野切第一種」で、かなを練習
目次
- 「高野切第一種」で、かなを練習しています
- 改訂版 書道技法講座「高野切第三種」
・単体いろは
・二字連綿 - かな書道で使う字典
・かな字典
・かな表現字典
・和様字典
・高野切字典(第一種/第三種)
・[電子書籍版]は、コメントを目次代わりに - テキストや字典との、つき合い方のヒント
・字典で、手本の「正解の範囲」を調べてみる
・自分の字の「正解や許容の範囲」を知る助けに
「高野切第一種」で、かなを練習しています
かなの連綿を練習中です
「高野切第一種」は、高野山に伝わる「古今和歌集」の写本のひとつです。平安時代中期に書かれました。百人一首には、古今和歌集から選ばれた二十四首が入っているので、法帖のページをめくっていると、百人一首で知った歌を見かけることも(ちょっと、嬉しい)。
第二種、第三種もありますが、私は第一種が好きなので、その臨書をベースにしたテキストで練習しています。「素朴なのに、どこか洗練されている」という不思議な書風で、見る者を飽きさせません。
実は、現代の書家の方が書かれた「かな書道のテキスト」も何冊か持っているのですが、漢字で古典で学ぶという練習を始めたので、かな書道も古典からやってみることにしました。
改訂版 書道技法講座「高野切第一種」
「書道技法講座1 高野切第一種」というテキストで、かなを練習しています。
DVDも付属していて(収録時間は短いですが)、かなの基本的な筆使いを学ぶことができます。
単体いろは
いろはのページと付録の下敷きです。かなり文字が大きく、最初に見た時には、ちょっとひるんでしまいましたが(笑)、筆を少し太めのものにすれば書きやすいです。
他の漢字シリーズと同じように、9分割の下敷きの付録がついているので、手本を下敷きのマス目と同じ大きさに拡大しなくても、十分に書きやすいです。
二字連綿
二字連綿のページと、コピーして作った短冊です。半紙の上に置けば、臨書がしやすいです。
二字連綿と三字連綿の短冊の束
切り離すとページが分からなくなるので、最初の短冊にページ番号を書いた付せんを貼り、順番に並べて輪ゴムで束ねています。
かな書道で使う字典
和様字典/かな表現字典/かな字典
かな字典
最初に1冊だけ買うとしたら「かな字典」でしょうか(上の写真、右)。連綿(つづけ字)も、巻末に少し載っています。
かな表現字典
連綿で、もっと詳しい手本が必要になってきたら「かな表現字典」を(上の写真、中央)。連綿だけでなく、漢字かな交じりの語句のつづけ方も参照できます。
テキストの練習や法帖の臨書の時に出てきた「かな」の、他の書き方や書風を参照する場合や、「かな書きの和歌」から、自分用の手本や作品を作ったりする時などに役立ちます。
和様字典
「和様字典」は、日本の古典の「漢字」を集めたものです(上の写真、左)。
テキストの練習や法帖の臨書の時に出てきた「漢字」の、他の書き方や書風を参照する場合や、「漢字かな交じりの和歌」から、自分用の手本や作品を作ったりする時などに役立ちます。
高野切字典(第一種/第三種)
高野切第一種の「あ」の二字連綿のページ
「高野切字典」には、第一種と第三種のかなと連綿、漢字がそれぞれ別パートで収録されています。習い初めは不要かもしれませんが、じっくり取り組みたい時には、あると便利です。
絵に例えるなら、写真を元に人物を描く場合、1枚だけでも描けないことはないけれど、色んな角度や表情で撮った写真もあった方が、骨格や筋肉のつき方がよく分かって、もっとリアルな絵が描ける、というのに似ています。
タレントやアニメのキャラの似顔絵でも、好きなら好きなだけ、いろんな表情や向きを良く見て知っているから、上手く描けるんだと思います。「高野切第一種」は、私のアイドルみたいな存在かな。まだ全然上手くないですが。笑
[電子書籍版]は、コメントを目次代わりに
hontoアプリ(iPad版)の、コメントパネルの部分
高野切字典は、「通常版」と「電子書籍版」の両方を持っていますが、どちらか1冊を選ぶなら、通常版の方が、辞書の横にインデックスがあって、引きやすいと思います。電子書籍版はタブレットで表示できるので、教室に通われている方は荷物が減って良いかもしれません。
電子書籍版の目次は、「かな単体、二字連、」と、ざっくりとしかついていないので、コメントを目次の代わりに利用すると良いです。
テキストや字典との、つき合い方のヒント
字典で、手本の「正解の範囲」を調べてみる
かな書道のテキストには、1〜2種類の手本しか載っていないことが多いのですが、何度やってもその通りに書けないという時は、字典で他の書き方を見てみると、「ここまで線が膨らんでも、正解なのか」というように、手本の「正解の範囲」を広げることができます。
例えば、ボールが弾んで変形しても、木が風で揺らいでも、それがボールや木だと分かりますよね。
字典の文字も、元は文脈という流れの中にあったので、ほとんどの字が弾んだり揺れたりしていますが、どれも「正解」のようです。
自分の字の「正解や許容の範囲」を知る助けに
どこまで練習すれば「きちんと書けた」ということになるのか、独学では判断が難しいですね。
かな書道を一番最初に始めた頃、いくら練習しても手本通りに書けず、「才能がないから、ダメなのかな」と思って、だんだん練習をしなくなりました。
今は、「手本通りではないけど、正解の範囲内。自分なりによく書けた」と思えたら、次の練習へ移ることにしています。最後までやって上手くならなければ、もう一度やり直せばいいのですから。
「1つの文字にこだわって、何時間も練習する」よりも、「一通りやってみて、足らない所があれば、次の回に補強する」というようにした方が、解決策が早く見つかるのではないでしょうか。
テキストや字典の、文脈の流れの中にある「変形した美しさ」を知っていくにつれ、自分の字の「正解や許容の範囲」も段々分かっていけたら(そして、そのレベルも少しずつ上げていければ)、と思いながら練習しています。